ミニラグビー

キューデンヴォルテックス選手によるラグビークリニックレポート

黒岩啓輔

 強すぎない日差しに、時折吹き抜ける心地よい風。ラグビーをするには申し分のない一日。5月9日(土)、都城アカキリスタジアム・多目的グラウンドには、県内各地のラグビースクールから約180名の子どもたちが集まった。迎えたのは、九州電力キューデンヴォルテクスの選手たちである。

元日本代表の山田章仁選手、延岡市出身の磯田昌宏選手、日向市出身の尾池亨允選手ら、リーグワンの舞台で戦う選手たちが、子どもたちと同じグラウンドに立った。
 ボールを持つ。走る。声を出す。タックルバッグに身体をぶつける。特別なことをしているわけではない。しかし、トップ選手と同じ空気の中でプレーするだけで、子どもたちの目の色は変わっていく。

 今回のクリニックは、交流をテーマにした混成チーム形式で行われた。所属チームの垣根を越え、その場で編成された即席チーム。開始直後は、どこか遠慮がちだった。知らない相手にどう声をかければいいのか。どう動けばいいのか。子どもたちの表情には、少しの緊張が浮かんでいた。

 だが、ラグビーは不思議なスポーツだ。
ボールをつなぎ、仲間を支え、身体を預け合ううちに、自然と距離が縮まっていく。
「ナイス!」「もう一回!」
そんな声が少しずつ増え、終盤には、まるで以前から一緒にプレーしていたかのような一体感が生まれていた。

アフタートークで、選手たちもその変化に目を細めていた。
「最初はバラバラだった子どもたちが、お互いに声を掛け合いながら、ちゃんとチームになっていった。その姿が頼もしかった」
ラグビーの本質は、技術だけではない。
仲間を信じること。声を出すこと。自分のためではなく、誰かのために走ること。その大切さを、子どもたちは短い時間の中で確かに感じ取っていた。
質問コーナーも印象的だった。
「好きな選手は誰ですか?」という問いに、南アフリカ代表のチェスリン・コルビ選手や山田選手の名前が挙がる中、チームキャプテンの古城隼人選手を挙げた選手がいた。
「小さい身体でも、大きな相手にひるまず体を張り続けるところがすごい」
派手なプレーだけではない。
泥臭く、仲間のために身体を張る選手に憧れる。そこに、このチームが築いている文化と結束力が見えた気がした。
クリニック終了後に行われた試合では、5・6年生がエスコートキッズを務めた。選手とともに入場した子どもたちの表情は、どこか誇らしげだった。スタンドからは大きな声援が飛び、会場全体が温かな空気に包まれていた。
子どもたちは、この日、何を持ち帰ったのだろう。
パスの技術かもしれない。タックルの姿勢かもしれない。だが、それ以上に、「ラグビーって楽しい」という感覚を胸いっぱいに抱えたのではないだろうか。
今日グラウンドを駆け回っていた子どもたちの中から、いつの日か高い舞台へ進む選手が現れるかもしれない。そんな未来を想像させる時間だった。
九州電力キューデンヴォルテクスの皆様、素晴らしい時間をありがとうございました。
そして―ナイスゲーム。
【レポート:県普及育成委員会ミニ部門長 中瀬 修】

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